研究課題/領域番号 |
17K15445
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
向井 康治朗 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (90767633)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自然免疫 / リソソーム / 細胞内膜輸送 |
研究実績の概要 |
然免疫は先天的に備わっている異物に対する応答機構であり、感染初期の生体防御において重要な役割を持つだけでなく、獲得免疫応答や慢性炎症など様々な 局面で機能している。近年この自然免疫応答において、細胞質に露出したDNA(ウイルス/ミトコンドリア/自己ゲノム由来)を異物として感知するセンサー蛋白質 cyclic GMP-AMP synthase(cGAS)、及びアダプター蛋白質STINGが同定され、cGAS-STING経路の重要性が明らかとなりつつある。cGASはDNAによって活性化され、 cyclic GMP-AMP(cGAMP)を生成する。cGAMPは定常状態で小胞体に局在する4回膜貫通蛋白質であるSTINGに直接結合し、その下流でTBK1/IRF3を介してI型IFNが、 NF-κBを介して炎症性サイトカインが発現誘導される。この様にSTINGはDNAセンサーとキナーゼ/転写因子を繋ぐアダプター蛋白質として理解されていたが、 STING自身の活性化機構に関しては不明な点が多く残されていた。最近申請者は、STINGが刺激依存的に小胞体からゴルジ体に局在変化し、ゴルジ体でSTINGがパ ルミトイル化されることが下流シグナルの活性化に必要であることを発見した。 一方、I型IFN応答および炎症応答は刺激後数時間のうちに収束するが、そのメカニズムはほとんど分かっていない。本研究では、STINGが引き起こす炎症応答の 収束のメカニズムをSTINGの翻訳後修飾、相互作用蛋白質、細胞内輸送経路に着目して解析し、細胞質DNAが惹起する炎症関連疾患に対する新たな治療標的を探る ことを目的とした。 本年度では、STINGの分解に必要な遺伝子のゲノムワイドスクリーニング、および免疫沈降法によるSTINGの結合タンパク質の同定を行い、それぞれ約200遺伝子、50遺伝子を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の平成30年度の目標であったゲノムワイドスクリーニング、およびSTING結合タンパク質の同定が完了したので、研究計画が順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
同定した遺伝子を個別にノックアウト(またはノックダウン)し、STING経路への影響を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が効率的に進展したため、消耗品の使用額が予想よりも少なくて済んだため、次年度使用額が生じた。 次年度では試薬の購入に充てる予定である。
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