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2018 年度 実績報告書

アルツハイマー病におけるミクログリア脂質シグナル経路の病的意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K15446
研究機関東京大学

研究代表者

高鳥 翔  東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (80624361)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワードアルツハイマー病 / ミクログリア / ホスホイノシチド
研究実績の概要

中枢神経系においてミクログリアに特異的に発現し、ホスホイノシチドの代謝に関わるINPP5Dは、アルツハイマー病(AD)の遺伝学的リスク因子であることが報告されている。本研究においては、INPP5DのAD発症機序における関与を明らかにすることを目的とした。アミロイドβ(Aβ)蓄積を示すADモデルマウスを用いてInpp5d欠損の影響を解析したところ、ミクログリアのAβ斑周囲への集簇が亢進していることを見出した。Aβは神経障害性を有し、その周囲に集簇したミクログリアは神経細胞に対して保護的な働き(バリア機能)を示すことが示唆されている。この過程には、ADの遺伝学的リスク因子であるTREM2とTYROBPが必須であり、実際、我々の有するADモデルマウスにおいてもTyrobp欠損によりAβ斑へのミクログリアの集簇が減弱することを追認した。この結果はInpp5d欠損による表現型とは対照的であり、TyrobpとInpp5dが共通のシグナル経路を正負に制御している可能性を示唆した。そこで、TyrobpとInpp5dの二重欠損マウスを得て詳細に解析したところ、ミクログリアによる集簇が部分的に回復した。一方で、Aβ斑近傍の神経障害の程度に関しては、二重欠損による回復傾向は認められなかった。これらの結果は、INPP5Dの制御する経路がTREM2/TYROBPの経路と一部オーバーラップしていることを示した一方で、バリア機能の発揮には異なる経路の役割が重要であることを示唆した。このことはまた、従来同一視されてきた、ミクログリアによるAβ斑への集簇とバリア機能が異なる分子機序により制御されていることを明らかにしたという点からも重要であると考えられる。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] Genetic Risk Factors for Alzheimer Disease: Emerging Roles of Microglia in Disease Pathomechanisms2019

    • 著者名/発表者名
      Takatori Sho、Wang Wenbo、Iguchi Akihiro、Tomita Taisuke
    • 雑誌名

      Advances in Experimental Medicine and Biology

      巻: 1118 ページ: 83~116

    • DOI

      10.1007/978-3-030-05542-4_5

  • [雑誌論文] Definition of phosphoinositide distribution in the nanoscale2019

    • 著者名/発表者名
      Tsuji Takuma、Takatori Sho、Fujimoto Toyoshi
    • 雑誌名

      Current Opinion in Cell Biology

      巻: 57 ページ: 33~39

    • DOI

      10.1016/j.ceb.2018.10.008

    • 査読あり
  • [雑誌論文] AP180 N-Terminal Homology (ANTH) and Epsin N-Terminal Homology (ENTH) Domains: Physiological Functions and Involvement in Disease2018

    • 著者名/発表者名
      Takatori Sho、Tomita Taisuke
    • 雑誌名

      Advances in Experimental Medicine and Biology

      巻: 1 ページ: 1~22

    • DOI

      10.1007/5584_2018_218

    • 査読あり
  • [学会発表] アルツハイマー病リスク遺伝子RIN3のミクログリアにおける病的機能の解明2018

    • 著者名/発表者名
      藤田隆弘, 王文博, 高鳥翔, 富田泰輔
    • 学会等名
      第40回神経組織培養研究会
  • [学会発表] アルツハイマー病リスク遺伝子INPP5Dの病理学的役割の解明2018

    • 著者名/発表者名
      井口明優, 高鳥翔, 木村新伍, 佐々木純子, 斉藤貴志, 西道隆臣, 高井俊行, 佐々木雄彦, 富田泰輔
    • 学会等名
      第40回神経組織培養研究会
  • [学会発表] 層板小体の恒常性維持におけるLRRK2の役割2018

    • 著者名/発表者名
      荒木美保, 高鳥翔, 伊藤弦太, 富田泰輔
    • 学会等名
      第41回日本分子生物学会
  • [学会発表] バルプロ酸母体投与自閉症モデルマウスにおいて興奮性シナプス形成異常をもたらす分子メカニズムの解明2018

    • 著者名/発表者名
      吉田文明, 長友亮太, 木村美咲, 伊藤弦太, 高鳥翔, 富田泰輔
    • 学会等名
      第41回日本分子生物学会
  • [備考] 東京大学大学院薬学系研究科機能病態学教室

    • URL

      http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~neuropsc/tomita/

  • [産業財産権] 自閉症発症機構に関連する接着分子2019

    • 発明者名
      富田泰輔、伊藤弦太、高鳥翔、長友亮太、吉田文明
    • 権利者名
      富田泰輔、伊藤弦太、高鳥翔、長友亮太、吉田文明
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      US62/800601
    • 外国

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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