アルツハイマー病病態におけるミクログリアの役割については不明の点が多く、特にミクログリアがAβ斑に集簇し神経保護作用を発揮するメカニズムに関しては分子レベルの知見が不足していた。本研究では、この過程に必須の受容体であるTREM2の下流にINPP5Dが関与する可能性を提示したという点で意義が大きい。また本研究では、ミクログリアによる神経保護作用の発現においてINPP5Dに依存しない経路が重要である可能性を提唱した。この事実は、これまで同一視されてきた、Aβ斑への集簇と神経保護作用の2つの事象がそれぞれ異なる分子経路により制御されている可能性を示唆するものであり新規性が高い。
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