オートファジーは細胞内の不要なタンパク質やオルガネラを分解するシステムであり、飢餓や薬剤ストレスなどで誘導される。我々は、オートファジーに必須と されてきたAtg5やAtg7に依存しない、新たなメカニズムによるオートファジー (新規オートファジー)を発見した。その後の研究で、出芽酵母において、新規 オートファジー不能Aag4変異株の単離に成功し、哺乳動物における相同遺伝子Aag4を同定した。
本研究では、(1) 出芽酵母におけるAag4の機能解析を行うこと、また、(2) 哺乳動物におけるAag4の機能解析を行うこと、さらに、(3) Aag4欠損マウスを作製し、新規オートファジーの生体内での役割を明らかにすることを目的とした。 これまでに、(1) 出芽酵母、哺乳動物の両者において、Aag4が新規オートファジーを制御する分子として同定できた。また、(2) 出芽酵母Aag4欠損株および哺乳動物Aag4を欠損したマウス線維芽細胞に対して電子顕微鏡観察を行った。その結果、Aag4が新規オートファジーのステップにおいて、隔離膜形成過程を制御していること、(3) Aag4が細胞質からゴルジ体に局在を変化させ隔離膜形成を行っていることを明らかにすることができた。さらに、(4) 脳特異的Aag4欠損マウスを作製し、解析した結果、Aag4を欠損したマウスでは神経変性疾患様症状を呈することを見出し、新規オートファジーが脳内で生理的役割を担っていることが明らかになった。
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