研究課題
本研究課題では、抗原認識能を有する可変領域の重鎖(VH)及び軽鎖(VL)断片間の抗原存在下における相互作用と三分割GFPの概念を掛け合わせ、強力な抗白血病活性を有するハリントニン(HT)の迅速かつ高感度な蛍光免疫化学的蛍光センサーの開発を目的としている。本計画は大きく分けて以下の三つから構成されている。(1) VH及びVL断片遺伝子のクローニング及び小型化抗体(scFv)としての機能評価【平成29年度】(2) VH-GFP10遺伝子、GFP11-VL遺伝子、GFP1-9遺伝子の構築及び発現系の検討【平成30年度】(3) 蛍光センサーの開発【平成31年度】昨年度は、項目(1)を行った。まず、HTを認識するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ株(MAb 1D2)よりVH及びVL遺伝子を増幅し、柔軟なペプチドリンカー(GGGGS)3で連結した小型化抗体(HT-scFv)のクローニングに成功した。その後HT-scFvは、大腸菌による発現、アフィニティーカラムクロマトグラフィーによる精製、封入体からの巻き戻しを行い、ELISAによりその機能解析を行った。その結果、HT-scFvは、親抗体と同じくHTに対し高い特異性を有しており、今後の蛍光センサーのプローブに適していることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
本課題は大きく3つに大別される(上記参照)。昨年度の計画目標は、(1) VH及びVL断片遺伝子のクローニング及び小型化抗体(scFv)としての機能評価【平成29年度】であり、昨年度までにHTを特異的に認識するHT-scFvの作製に成功しており、順調に当初目標を達成できている。
今年度は、(2) VH-GFP10遺伝子、GFP11-VL遺伝子、GFP1-9遺伝子の構築及び発現系の検討【平成30年度】を行う予定であった。GFP1-9遺伝子の構築発現系の検討は当初計画のまま行う予定であるが、VH-GFP10及びGFP11-VLタンパク質は不安定であるため、新たにVH-GFP10-(GGGGS)n-GFP11-VLといったGFP10及びGFP11を含んだHT-scFv(N = 2 及び 3)を構築し、その発現系の検討を行う。本法の原理は申請課題と同じであり、かつ安定性の向上が見込まれることから免疫化学的蛍光センサーの開発に向けて前進できる変更である。
全て使用する予定であったが計算を誤り、その結果22801円生じてしまった。平成30年度は物品費として計上予定である。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Journal of Natural Products
巻: 81 ページ: 34-40
10.1021/acs.jnatprod.7b00541
Journal of Natural Medicines
巻: 72 ページ: 32-42
10.1007/s11418-017-1144-z.
Planta Medica
巻: 印刷中 ページ: -
10.1055/a-0578-8689.