研究課題/領域番号 |
17K15466
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
坂元 政一 九州大学, 薬学研究院, 助教 (50610177)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 小型化抗体 / ELISA |
研究実績の概要 |
本研究課題では、抗原認識能を有する可変領域の重鎖(VH)と軽鎖(VL)断片間の抗原存在下における相互作用と三分割GFPの概念を融合し、強力な抗白血病活性を有するハリントニン(HT)の迅速かつ高感度な蛍光免疫化学的センサーの開発を目的としている。 本計画は大きく以下の3項目より構成されている。 (1)VH及びVL断片遺伝子のクローニング及び小型化抗体(scFv)としての機能評価【平成29年度】 (2)VH-GFP10遺伝子、GFP11-VL遺伝子、GFP1-9遺伝子の構築及び発現系の検討【平成30年度】 (3)蛍光センサーの開発【平成31年度】 昨年度は、(2)の行なった。具体的には、VH-GFP10遺伝子とGFP11-VL遺伝子及びGFP1-9遺伝子を構築し、大腸菌発現系を用いて発現後、精製、巻き戻し後蛍光を指標にその活性を検討した。しかしながら、4元複合体の形成に伴う蛍光が認められなかった。そこで、GFP10とGFP11の距離を近づけるようVH-GFP10とGFP11-VL遺伝子を柔軟なペプチドリンカー(GGGGS)n(n=2, 3)で連結したVH-GFP10-GFP11-VL(scFvGs)を構築した。これらを大腸菌発現系を用いて発現後、精製、巻き戻した結果、scFvGsはHTを特異的に認識することが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
VH-GFP10遺伝子とGFP11-VL遺伝子及びGFP1-9遺伝子をそれぞれ構築後、蛍光センサーへの応用を試みたが、蛍光は認められなかった。これはGFP10とGFP11の距離の問題であることが予想されたため、上記VH-GFP10-GFP11-VL(scFvGs)を起用する事へ方向転換した。当初計画から変更があったものの、現在までHTを特異的に認識するscFvGsを得ることが出来、蛍光センサーの確立に向けて前進したと言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、scFvGsとGFP1-9をHTの存在下で混合し蛍光されるか否かが本研究の鍵を握っている。先ず、それぞれのタンパク質の物理的安定性(溶媒、温度、pH等)を検討後、最適使用濃度を決定する。次に、HTの濃度依存性を蛍光強度を指標に検討する。この時、scFvGs、GFP1-9、及びHTの3者の混合順は、測定結果に大きく影響を与えることが想定される。そのため、混合順は特に注意深く検討する。その後、バリデーション試験等を通して本法の正確性や信頼性を精査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
全て使用予定であったが計算を誤り17376円余ってしまった。平成31年度に物品費として使用予定である。
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