研究課題/領域番号 |
17K15471
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
若菜 大悟 星薬科大学, 薬学部, 助教 (80700129)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 真菌 / Aspergillus / 生薬エキス / 微生物変換 / 多様化 |
研究実績の概要 |
本申請課題では、天然物研究に用いる限りある資源を有効活用するために、既存の生薬抽出エキスを、Aspergillus 属を中心とした糸状菌で変換することにより、新たな多様化エキスライブラリを構築することを目的としている。今回、エキスライブラリを構築するため、生薬 20 種の熱水抽出エキスを添加したポテトデキストロース培地を調製した。これを用い、Aspergillus fumigatus を、25℃で培養することにより、各培養エキスを得た。なお、培養日数の違いによる含有成分の変化を観測するため、3、5、8 および 11 日間培養を行った。培養後、凍結乾燥し、メタノールで抽出することにより培養エキスを得た。得られた培養エキスは当研究室で保有する糸状菌 2 種(A. fumigatus、A. niger)および酵母 2 種(Candida albicans、Cryptococcus neoformans)に対する抗菌活性をペーパーディスク法を用い測定した。その結果、20 種の培養エキス中、4 種で培養前と後で抗真菌活性スペクトルが変化した。また、含有成分の変化を観測するため、これらのエキスの HPLC 分析を行ったところ、数種の多様化エキスで HPLC プロファイルが変化していることが判明した。また、抗真菌活性が変化しなかったものの中にも HPLC プロファイルが変化しているものもあり、真菌類による既存の生薬抽出エキスの多様化は達成されたと考えている。そのため、目標としていた多様化エキスライブラリの構築は順調に進行している。 なお、現在翌年度に行う予定であった、A. fumigatus 以外に A. niger および A. oryzae による培養も先行して行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたA. fumigatus による培養及び抗菌試験は予定通り進行しており、進行状況は問題ないと考えている。また、翌年度行う予定の研究の一部である A. niger および A. oryzae による培養も前倒しで進行しており、本研究課題は問題なく遂行可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本課題は順調に遂行しているため、翌年度も申請した研究実施計画に従い実行する予定である。すなわち、先行して行った A. niger および A. oryzae による多様化エキスの作成と共に、A. nidulans による培養も行い、得られたエキスライブラリの抗菌活性試験を行う。また、当初は生薬の熱水抽出エキスのみを対象として行う予定であったが、より低極性の低分子化合物に着目するために、メタノール抽出エキスを基としたエキスライブラリの作成を追加して行う予定である。
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