研究課題
平成30年度に得られた結果を基に、令和元年度もプロアントシアニジンを含むマオウおよびダイオウのエキスで直接導入型電子イオン化質量分析(DI-EI-MS)および核磁気共鳴(NMR)のメタボロミクスによる抗成人T細胞白血病(ATL)活性予測モデルを構築し、平成29年度のブルーベリー葉のモデルも含め総括的な検証を行った。平成30年度に収穫、作製した各種生薬エキスの抗ATLアッセイを行った結果、前年度収穫物とは活性が異なるサンプルがいくつか見られた。なお、抗ATL活性は1点の濃度でしか評価できなかった。マオウにおける抗ATL活性試験では、局方規定外品種のアセトンエキスがSu9T01株において強い細胞増殖抑制傾向を示した。また、アセトンエキスは前年度同様にメタノールエキスよりも高活性の品種が多く見られた。ダイオウにおける抗ATL活性試験では、他の細胞株と比べてED株において強い細胞増殖抑制傾向を示した。同一個体における根と葉の抗ATL活性に大差はなかった。全サンプルについてDI-EI-MSおよび NMRを測定し、メタボロミクスで抗ATL活性予測モデルを作成した。抗ATL活性に寄与する特徴的なフラグメントイオンピーク(m/z)およびケミカルシフト(ppm)を抽出することができた。しかし、マオウおよびダイオウ両者とも、抗ATL活性の強弱を明快に反映した主成分分析のスコアプロットを作成することは困難であった。一方、マオウの収穫年度(葉および根)や抽出溶媒(アセトンおよびメタノール)、ダイオウの部位(葉および根)を区別した主成分分析のスコアプロットを作成することはできた。今後、プロアントシアニジンを高収率で得られるような前処理を行うことで、抗ATL活性予測モデルが改善できるか検討していきたい。
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