研究課題
【目的】タンパク質間相互作用は、生体の恒常性維持において重要かつ様々な役割を担う。特定のタンパク質間相互作用を制御できる分子は、生物医学研究のツールや新たな医薬品シーズとなりうる。実際に、タンパク質間相互作用を阻害するバイオ医薬品(例:抗体)が臨床応用されている。しかし、高コスト、免疫毒性、また、標的が細胞膜表面に限定的といった課題も残っており、より低コストで細胞内外のタンパク質間相互作用を制御可能な合成分子が求められている。このような状況下、らせんなどの特定の二次構造をとる人工オリゴマー分子(フォルダマー)は、タンパク質の二次構造を模倣できるため、タンパク質間相互作用を制御可能な分子として注目されている。現在までに多様な骨格のフォルダマーが開発されているが、その配座自由度の高さ故かδ-アミノ酸を基盤にしたフォルダマーの報告例はない。そこで本研究では、配座制御能が高いシクロプロパンで配座制御することでδ-アミノ酸を基盤にしたフォルダマーを創製し、新たなペプチドミメティクスとして応用することを目指した。【方法と結果】様々な立体化学の光学活性シクロプロパンδ-アミノ酸オリゴマーを設計し、マクロモデルを用いてそれらの最安定配座を計算したところ、特定の立体異性体のホモオリゴマーが、安定な右巻きヘリックスを形成することが期待された。実際にその光学活性シクロプロパンδ-アミノ酸モノマーを、光学活性グリシドールから不斉補助基を利用した立体選択的Grignard反応および不斉アルキル化を経て、18工程で合成した。種々の長さにオリゴ化後、その立体構造のCD測定やNMR測定、およびX線結晶構造解析を行った。その結果、6量体以上のオリゴマーで、計算通りのらせん二次構造を形成していることが分かった。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
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