研究課題/領域番号 |
17K15484
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
高山 健太郎 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (70611482)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | フォリスタチン / マイオスタチン阻害ペプチド / 選択的阻害 / 構造活性相関 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、筋肉量を負に制御するマイオスタチンの阻害分子として"フォリスタチン"に着目し、高活性かつ選択的なペプチド性筋肉増強剤の創製を目指す。これまでに、マイオスタチン前駆体プロドメイン中よりマイオスタチン阻害ペプチド1(14残基, WRQNTRYSRIEAIKIQILSKLRL-amide)の同定に成功したが、分子サイズやマイオスタチン選択性の向上が課題であった。最近、フォリスタチン-マイオスタチン共結晶の構造情報を基に、フォリスタチン配列中のフラグメントペプチド2(14残基, VNDNTLFKWMIFNG-amide)が、高選択的なマイオスタチン阻害活性を示すことを発見した。本研究では、(A)フォリスタチン由来ペプチド2を基盤に網羅的な構造活性相関研究を実施し、医薬品開発に繋がる新規誘導体の獲得を目指すとともに、(B)本過程で得られる知見から、効果的かつ選択的なマイオスタチン阻害を実現するための分子基盤を明らかにすることを目的とする。 本年度は、上述(A)に関して検討を進めた。ペプチド2の各アミノ酸残基の側鎖構造の重要性を検証するため、1残基ずつAlaに置換した誘導体を14種合成し、ルシフェラーゼレポーターアッセイによりマイオスタチン阻害活性を評価した。その結果、C末端のGlyをAlaに置換した誘導体を除き、全てのAla置換体で阻害活性の明らかな低下がみられた。本知見をもとに、阻害活性の向上を目指すべく、各アミノ酸残基に対して網羅的な一アミノ酸置換(基本的に保存的置換)を施した誘導体60種を新たに合成し、評価した。その結果、N末端のValをフェニルグリシンに、N末端から9残基目のTrpをPheに、10残基目のMetをホモフェニルアラニンに、12残基目のPheを4-フルオロフェニルアラニンに置換した誘導体でマイオスタチン阻害活性の向上が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、フォリスタチン由来ペプチド2の各アミノ酸残基の重要性を検証することができた。得られた知見をもとにした網羅的構造活性相関研究により、マイオスタチン阻害活性が向上するようなアミノ酸置換を見出すことができ、今後の高活性化誘導体創製の基盤となる成果が得られるとともに、特許出願の目処がついた。
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今後の研究の推進方策 |
網羅的構造活性相関研究により得られた知見を融合させた各種誘導体を創製し、高いマイオスタチン選択的阻害活性を示すか検証していく。また、初年度に実施していない最小構造の決定に関しては、活性発現に重要性を示さなかったC末端Glyを欠損させた誘導体を創製することで検証する。得られた高活性誘導体および、ペプチド2のマウスでの効果を研究協力者のもとで検証する。 また一方で、水溶性の向上を目的とした誘導体化(末端修飾を含む)、二次構造の安定化、血清中代謝部位の同定と安定化、および分子間相互作用解析を含めたドッキングシミュレーションを随時進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度をまたいだ継続的な実験研究遂行のため。
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