研究実績の概要 |
化学物質の化学構造的要因が薬物アレルギー発症に深く関与していると考えられる薬物アレルギー発現機序の観点から平成29年度では、まず市販後におけるアレルギー性接触皮膚炎の発症頻度が高く、消炎鎮痛剤として皮膚に使用されている酸性非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に着目し、ジクロフェナク、イブプロフェンピコノール、ブフェキサマク、ウフェナマートの4化合物を選定した。 アレルギー性接触皮膚炎回避をターゲットとしたドラッグデザイン及びドラッグデザインに基づく合成検討を実施した。NSAIDs のカルボキシル基をトリフルオロメチル基に置換する合成経路は、原 料である NSAIDs(エステル体またはアミド体のNSAIDs は加水分解処理した後)のカルボキシル基 に 対 し て 、フ ッ 素 化 試 薬 で あ る 4-tert-Butyl-2,6-dimethylphenylsulfur Trifluorideを用いて目的の NSAIDs 誘導体の合成を検討する(Umemoto et al., J. Am Chem Soc., 132, 18199-18205, (2010))。 梅本らの方法を参考にして、ジクロフェナクを原料として反応時間、反応温度などの条件検討し、合成を試みたが副精製物が多く、トリフルオロメチル基が導入された目的とする生成物を確認することに至っていない。またイブプロフェンについても同様に目下検討中である。
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