研究実績の概要 |
化学物質の化学構造的要因が薬物アレルギー発症に深く関与していると考えられる薬物アレルギー発現機序の観点から平成30年度では、ジクロフェナク、イブプロフェンピコノール、ブフェキサマク、ウフェナマートの4化合物についてアレルギー性接触皮膚炎回避をターゲットとしたドラッグデザイン及びドラッグデザインに基づく合成検討を実施した。NSAIDsのカルボキシル基をトリフルオロメチル基に置換する合成経路は、原 料であるNSAIDs(エステル体またはアミド体のNSAIDs は加水分解処理した後)のカルボキシル基に 対 し て 、フ ッ 素 化 試 薬 で あ る 4-tert-Butyl-2,6-dimethylphenylsulfur Trifluorideを用いて目的の NSAIDs 誘導体の合成を検討した(Umemoto et al., J. Am Chem Soc., 132, 18199-18205, (2010))。梅本らの方法を参考にして、イブプロフェンを原料として反応時間、反応温度などの条件検討し、合成を試みたが反応が進行せず、トリフルオロメチル基が導入された目的とする生成物を確認することに至っていない。他のNSAIDsについても目下検討中である。また、抗原性の有無を検討することを目的として、インビトロにてヒト肝臓または皮膚ミクロソームを用いて、NSAIDsの代謝反応性を検討する。すなわち、被検化学物質をNADPH共存下、ラットまたはヒト肝臓または皮膚ミクロソームにて生体高分子のモデル化合物としてのアミノ酸であるリシンまたはシステインと反応させ、被検化学物質-アミノ酸複合体の検出を検討する予定である。
|