研究実績の概要 |
化学物質の化学構造的要因が薬物アレルギー発症に深く関与していると考えられる薬物アレルギー発現機序の観点から、市販後におけるアレルギー性接触皮膚炎の発症頻度が高く、消炎鎮痛剤として皮膚に使用されている酸性非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に着目し、ジクロフェナク、イブプロフェンピコノール、ブフェキサマク、ウフェナマートの4化合物を選定した。アレルギー性接触皮膚炎の発症の回避をターゲットとして、代謝活性化制御を目論んだドラッグデザインおよびそのドラッグデザインに基づいた合成を検討した。NSAIDs のカルボキシ基をトリフルオロメチル基に置換する合成経路として、原料であるNSAIDs(エステル体またはアミド体のNSAIDs は加水分解処理した後)のカルボキシ基に対して 、フッ素化試薬である4-tert-Butyl-2,6-dimethylphenylsulfur Trifluorideを用いて目的の NSAIDs誘導体の合成を検討した(Umemoto et al., J. Am Chem Soc., 132,18199-18205 (2010))。ジクロフェナク、イブプロフェンを原料として反応時間、反応温度などの条件を検討し、合成を試みたが、トリフルオロメチル基が導入された目的とする生成物を確認することに至っていない。今回の条件検討を踏まえ、反応溶媒の検討に加え、反応温度の詳細な検討が必要であると考えられる。
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