研究課題/領域番号 |
17K15498
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研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
高橋 雄太 高崎健康福祉大学, 薬学部, 助教 (70509918)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 抗体医薬 / 個別医療 / 薬物動態 / プロテオミクス |
研究実績の概要 |
抗体医薬品の薬効や副作用には遺伝多型のみでは説明できない個人差が報告されており、標的分子の発現や機能及び抗体に対する耐性化も併せて評価する必要がある。本研究では、Programmed cell death-1(PD-1)抗体であるニボルマブおよび中和抗体体内動態の解析、生体由来タンパク質の血清プロテオミクス、遺伝子多型解析を介して、薬効および副作用を予測するマーカーを探索する。これにより、抗体医薬品を適正に使用するための投与設計法を確立するための方法論を構築する。 昨年度までに、PD-1抗体投与患者の血中濃度の定量を検討し、LC-TOFMSを用いてニボルマブ定量の測定対象ペプチドを明らかにし、合成ペプチドを用いた検討を進めた。その結果、測定対象ペプチド特異的なLC-MS/MS分析法をほぼ確立した。血清を用いて検討したところ、得られた測定対象ペプチドでは、夾雑ピークと重なる恐れが出てきたことから、もう一つの候補ペプチドを得て、順次検討を進め、臨床検体が測定可能となっている。 PD-1投与患者の薬効および副作用の予測マーカーとしての血清プロテオミクスの確立を目的として、網羅的プロテオミクスの前段階の検討になる標的プロテオミクスを検討した。がん細胞の遊走・浸潤に関与することが明らかにされているstathmin 1とTGF-β1を標的として、還元アルキル化トリプシン処置をした血清の分析を行い、測定対象となるペプチドを得た。今年度は、血清の直接的な還元アルキル化トリプシン処理では感度が足りない可能性が明らかになった。現在、直接的な還元アルキル化トリプシン処理前に、夾雑たんぱく質を除く手法を検討している。 今年度は、所属の異動により、研究環境の構築と異動初年度に起因する教務への対応にエフォートを割かねばならず実験的には進展が得られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに、LC-MS/MSを用いたニボルマブの分析系を確立でき、臨床検体の測定は可能な状態である。標的プロテオミクスの手法確立の一端として、対象タンパク質から、測定対象ペプチドを得る過程を確立した。測定対象ペプチドの測定においては直接的な前処理のみでは感度が足りない可能性を明らかにし、前処理法の検討が必要であることが判明した。 2019年度は、所属の異動により、異動初年度に起因する研究環境の構築と教務への対応にエフォートを割かねばならず実験の進展が得られなかった。
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今後の研究の推進方策 |
ニボルマブの定量はほぼ可能となったことから臨床的な検討を進めていく。標的プロテオミクスの手法確立により、ポジティブコントロールを得ることが必要である。臨床検体を用いた検討は困難であることから、購入可能な患者血清を用いて、標的プロテオミクスの検討を継続する。血清サンプルの網羅的プロテオミクスの確立につなげていく。その後、臨床検体の解析を順次行っていく。 群馬大学大学院医学系研究科および保健学研究科の先生に技術協力を得ながら、遺伝子多型解析の手法確立および臨床検体の解析を順次行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、所属の異動により、研究環境の構築と異動初年度に起因する教務への対応にエフォートを割かねばならず実験的には進展が得られなかった。 ニボルマブの定量、網羅的プロテオミクスの確立、遺伝子多型解析の手法確立および臨床検体の解析を順次行っていく。
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