本研究は筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者における疼痛の要因や病気の進行度に応じた薬物療法を確立することを目的とした。多施設共同横断研究では,若年,寝たきり,四肢発症が疼痛に独立して関連する危険因子となった。さらに,多施設共同前向き観察研究において疼痛非発現群では観察期間前後で身体機能の低下がみられたが,発現群では変化が見られなかった。このことから,ALS患者における疼痛は身体機能の維持された状況で発現しやすいことが示唆された。また,ALSの疼痛に対する薬物療法に関して,NSAIDs単独使用では疼痛が残存する患者が多いことから,鎮痛補助薬やオピオイドの使用も積極的に検討する必要があると考える。
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