研究課題/領域番号 |
17K15503
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
織田 進吾 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (10725534)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 薬剤性横紋筋融解症 / スタチン / ニューキノロン / 動物モデル / 腎障害 |
研究実績の概要 |
スタチン系薬剤アトルバスタチン及びニューキノロン系薬剤シプロフロキサシンを用いて、横紋筋融解症発症モデルマウスの作製を試みた。グルタチオン枯渇剤ブチオニンスルホキシミン (BSO) の存在下、両薬剤の併用投与を4日間行い、血漿、骨格筋、腎臓を採取した。血漿中において、クレアチンホスホキナーゼ (CPK) 及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ (AST) の顕著な上昇が認められた。また、骨格筋に発現するmicroRNAであるmiR-206-3p及びmiR-133b-3pも血漿中にて有意に上昇した。これより、骨格筋障害が示唆された。骨格筋の病理組織検査を行ったところ、骨格筋の変性が認められた。横紋筋融解症において、骨格筋より流出する、ミオグロビンが腎尿細管を障害することが知られている。本研究においても、腎臓の病理組織検査を行ったところ、尿細管におけるミオグロビンの沈着、近位尿細管の空胞化及び遠位尿細管での硝子円柱が観察された。従って、BSO存在下、アトルバスタチン及びシプロフロキサシンをマウスへ投与することで、横紋筋融解症及び腎障害を発症させることに成功した。なお、アトルバスタチンまたはシプロフロキサシンの単剤投与では、血漿マーカーの変動、骨格筋の変性は認められず、臨床横紋筋融解症は薬剤の併用で発症率が上昇する事実を支持するものとなった。作製した動物モデルは、横紋筋発症リスクを予測する有用なツールとなり得る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時に提示した初年度の実施計画の一部 (薬剤性横紋筋融解症モデルマウスの作製) が達成されたが、ラットを使用した研究が遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
作製したマウス横紋筋融解症モデルの条件が、ラットにおいても適用可能か検討する。作製した動物モデルを用いて、薬剤性横紋筋融解症の診断バイオマーカーの最適化及び治療薬の同定を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 研究の進行がやや遅れており、使用経費が少なくなったため。 (使用計画) 動物購入費、ELISA、microRNA測定試薬、薬剤の購入に充てる。
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