研究課題
若手研究(B)
本研究では、鎮痛薬トラマドールの鎮痛効果の個人差を説明するための要因としての代謝酵素CYP2D6遺伝子多型の影響を実臨床のデータベースを用いて評価することにより、遺伝子多型検査の有用性の検証を行った。欧米人と比較して、日本人においては、CYP2D6の活性が極端に低下する遺伝子変異は少ないものの、日本人に高頻度に見られるCYP2D6の活性が軽度に低下する遺伝子多型であっても、鎮痛薬トラマドールの効果に有意な影響を与えることが明らかとなった。
臨床薬理学
本研究では、薬物の効果の個人差を遺伝子変異の有無により説明することを目的としている。遺伝子変異の評価に基づいて個々の患者さんに合わせた薬剤選択や投与量決定が可能となれば、(1) いち早く最適な治療効果が達成できることによる治療効率の向上や、(2) 過剰投与が防止できることによる副作用頻度の低下という医学的なメリットに加え、(3) 投与量の最適化による薬剤費の負担軽減や、(4) 副作用頻度の低減による副作用の治療のための医療費の軽減など、経済学的なメリットが期待できる。