本研究では、免疫細胞を用いたがん組織への薬物送達法の開発を試みた。免疫細胞はがん組織へと移行する性質を持っているため、これを薬物送達システムとして用いた。種々の免疫細胞を含む脾臓細胞を投与したところ、T細胞や顆粒球のがん組織移行性が高いことが明らかになった。また脾臓細胞を投与する前に抗がん剤であるDoxilや免疫調節剤であるFTY720を前投与することにより、T細胞のがん移行性を向上させることに成功した。さらに免疫細胞に薬物を搭載することにも成功しており、これらを併用することによってより効率的ながん治療が可能になると期待される。
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