研究課題
本研究は世界的に患者数が増加し続けている炎症性腸疾患 (inflammatory bowel disease: IBD) に対して有効かつ安全性の高い治療法の戦略的創出を目指すものである.すなわち,抗炎症作用を有する既存医薬品を用いて新規経口吸収製剤を開発し,大腸炎モデルを用いてその有効性ならびに安全性の両面から戦略的に治療 option の提示を目指す.本年度は新規製剤と消化管粘膜の相互作用に関する検討を行った.製剤の調製において粘膜透過性を有する高分子あるいは粘膜付着性を有する高分子を用いた.両製剤とも同程度の粒子サイズを有していた.調製した製剤の表面電荷については粘膜透過性製剤は電気的に中性であったが,粘膜付着性製剤の表面電荷は負に帯電していた.粘膜透過性を付与した製剤においては調製した製剤と消化管粘膜との相互作用は認められず,比較的速やかな血中濃度の上昇を認めた.一方で粘膜付着性を有する製剤において,調製した製剤と消化管粘膜との相互作用し,緩徐な消化管吸収を示したことを明らかにした.したがって,ナノ粒子に粘膜付着性の機能を付与することで消化管吸収をコントロールすることができることを明らかにした.また,どちらの製剤も大腸炎モデルラットを用いた検討において,ミエロペルオキシダーゼ活性の上昇の抑制を示し,原末投与群と比較し低用量で消化管炎症の誘発を抑えることを明らかにした.本研究成果を基によりよい炎症性腸疾患治療薬の創出に貢献できると考える.
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
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