研究課題/領域番号 |
17K15518
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
高橋 克之 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 薬剤部職員 (10597751)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 薬剤耐性 / 熱ショックタンパク質 / トリプルネガティブ乳癌 |
研究実績の概要 |
治療選択肢が少なく、予後不良であるトリプルネガティブ乳癌(TNBC)において抗癌剤耐性は重要な問題である。耐性を解除する薬剤としてABCトランスポーター阻害薬が期待されたが、既存の抗癌剤との併用による生存期間の延長は認めていない。そこ本研究では癌細胞のストレス回避・生存に関わるストレス応答蛋白質「Hsp72」に対する結合分子の解析を行い、5-FUに対する耐性を解除する標的分子の探索を行った。 初年度はヒトTNBC株MDA-MB-231とそれより樹立した5-FU耐性株MDA-MB-231/5-FUの細胞抽出液および培養上清に含まれるHsp72複合体を抗Hsp72抗体結合アフィニティービーズにて精製した。その後 、精製したサンプルに含まれる全蛋白 質を質量分析計にて同定した。その結果、細胞抽出液ではMDA-MB-231で256種、MDA-MB-231/5-FUで184種の蛋白質が同定され、そのうち34種類がMDA-MB-231/5-FUのみで同定された。また、同様に培養上清ではMDA-MB-231で135種、MDA-MB-231/5-FUで135種の蛋白質が同定され、そのうち19種類がMDA-MB-231/5-FUのみで同定された。 MDA-MB-231/5-FUでのみ同定された蛋白質53種を耐性解除標的分子の候補とした。 これら蛋白質の中より4種類の蛋白質のsiRNAをMDA-MB-231/5-FUに導入し、IC50を評価、測定することで耐性解除薬標的分子としての妥当性を検証した。その結果、著明なIC50の低下を認める分子を見出すことはできなかったが、MDA-MB-231/5-FU株の増殖速度が低下する分子を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Hsp72 結合分子の同定および同定分子の機能阻害により、耐性解除薬の標的となりうる分子のスクリーニングを実施したが、IC50に影響を与える分子の同定には至っておらず、やや遅れていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
標的分子53種類のうち、5種類の評価を実施したため、今後は残りの分子の中より、耐性解除標的分子を探索する。 候補分子が見出せなかった場合は、既に樹立済みであるTNBC 5-FU耐性株(BT549/5-FU)を用いてHsp72複合体を精製、同定することで5-FUに対する耐性を解除する標的分子の探索を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
耐性解除標的分子の探索がやや遅れており、成果発表に計上していた旅費の支出がなかったことが次年度使用額が生じた理由である。 探索がやや遅れていることから、再度質量分析計を用いたHsp72複合体の同定やスクリーニングに多くの消耗品費がかかることから、それらの費用とする予定である。
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