研究課題
薬物の代謝経路あるいは代謝速度は、シトクロムP450(P450)の酵素学的性質に基づいて動物種により異なる。in vitro代謝実験により様々な薬物の代謝に関与するP450分子種の役割をヒトと実験動物の間で比較解析した。マーモセット肝によるプロゲステロンの酸化的代謝について組換えマーモセットP450酵素を用いて調べたところ、21/17αおよび16α/6β水酸化反応におけるそれぞれP450 2C58/19およびP450 3A4/90の関与が明らかになった。ステロイド代謝を触媒するP450 2Cおよび3A酵素の役割は、ヒト肝およびマーモセット肝で類似していることが示唆された。またヒト、カニクイザル、マーモセット、イヌ、ミニブタ、ラットおよびマウスの肝ミクロゾームによる抗不整脈薬プロパフェノンの主要酸化酵素活性を調べたところ、マーモセット肝のみがヒト肝と同様に5-水酸化反応を優先的に触媒した。興味深いことにラット肝の主要なプロパフェノン酸化反応は、ヒト肝により触媒される5-水酸化反応ではなく、4’-水酸化反応であった。組換えP450酵素を用いたプロパフェノン代謝実験により、ラットP450 2D2およびヒトP450 2D6はそれぞれ優先的に4’-および5-水酸化反応を触媒することから、P450 2D酵素の触媒機能がそれぞれの動物肝におけるプロパフェノン酸化的代謝の特徴を決定づけていると考えられた。以上、ヒトおよび実験動物肝のP450酵素を介した薬物酸化酵素反応の種差を分子レベルで明らかにした。これらの知見は創薬研究における実験動物を用いた薬物動態試験を実施する際の基盤情報として活用することが期待される。
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