腸管上皮細胞の管腔側表面を覆う水溶性の粘液層は、腸管上皮近傍において非攪拌水層を形成することで薬物吸収時の障壁となることが古くから指摘されている。しかし、粘液層の主要構成タンパク質としてムコ多糖タンパク質であるmucinが同定されているにも関わらず、薬物吸収とmucinとの関連性について分子レベルで検討した報告は無く、薬物の細胞膜透過におけるmucinの役割は不明である。本研究では、膜結合型mucinであるMUC1が脂溶性薬物の細胞膜透過において重要な制御因子となる可能性を示し、薬物の腸管吸収において粘液層を中心とした腸管表面構造をより詳細に理解することの重要性を示した。
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