研究課題/領域番号 |
17K15523
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
笹津 備尚 星薬科大学, 薬学部, 講師 (60421210)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 褥瘡 / 外用剤 / 吸水特性 / 添加剤 |
研究実績の概要 |
本研究では、褥瘡治癒に重要な役割を持つ滲出液に対する基剤および添加剤が有する吸水特性と吸水した水の状態などを解明し、創傷面の蛋白等に及ぼす影響の解明に焦点を当て、得られた結果を評価・分類をすることで、経験的に行っている褥瘡治療に対する指針と新たな概念を構築することを目的としている。 本年度は、外用剤や添加剤の有する吸水特性に関して明らかにした。異なるモデルの試験法を用いて外用剤の比較したところ、同じ基剤を用いた外用剤(ユーパスタ、ヨードコート、カデックス)において、試験器の特性に応じてその吸水特性に違いがあることが明らかにした。その違いは添加剤によるものと考え、外用剤の添加剤そのものを比較したところ、添加剤の吸水特性が外用剤の吸水特性に影響していることが示された。特定の添加剤により外用剤の吸水特性に違いが認められたことから、それら添加剤を「機能性添加剤」と称し、外用剤の吸水特性を考える上で重要な要因であることが明らかとした。 MRIを用いて、T2緩和時間画像および見かけの拡散係数画像を撮像し、画像からMRパラメータ(T2緩和時間および見かけの拡散係数)を求め水の分子運動を可視化することを試みた。外用剤のみをT2緩和時間画像で撮像したところ、外用剤によりMRパラメータの違い認められ、外用剤中の水分子の状態を可視化できることを明らかとした。また、外用剤に重水を吸水させ画像から外用剤の吸水特性の解析を試みたが、画像にノイズが認められ解析が難しかった。そこで、重水を精製水に変更し外用剤に吸水させ解析を行い、引き続き検討している。外用剤がもつ褥瘡面に存在する蛋白質への影響に関しては、現在検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデルの異なる吸水試験器による解析に関して概ね終了した。その結果、外用剤の吸水特性は、基剤のみならず添加剤の影響も考慮しなければならないことが明らかとなった。 MRIを用いて撮像した画像から水の分子運動を可視化に関して、外用剤のみの解析は概ね終了した。また、計画では外用剤の吸水特性を重水を用いて行う予定であったが、画像にノイズが残り解析が難しかったため、精製水を吸水させる方法に変更した。その結果外用剤の吸水特性や外用剤と添加した水分子の状態について明らかにすることができている。この解析をより詳細に行うことで、目的の達成につなげられると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
MRIによる解析は今年度も引き続き行う予定である。外用剤の持つ創面の蛋白に及ぼす影響の解明に関しては、現在進めている。ラットによる重度創傷モデルによる外用剤の評価は申請書に記載の通り推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表、調査・研究旅費や研究打ち合わせを旅費として申請していたが、学会会場が遠方ではなかったことや別件に合わせて打ち合わせを行ったことで、実際に使用しなかった。その結果、使用額に差額が生じたと考えられる。
(使用計画) 主に消耗品の購入が増える点と学会発表やサンプル測定の依頼に使用することを計画している。
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