研究課題/領域番号 |
17K15530
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
武田 朋也 近畿大学, 薬学部, 助手 (20734031)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | がん / 転移 / 免疫 / 上皮間葉転換 |
研究実績の概要 |
本研究は上皮間葉転換(EMT)を起こした乳がん細胞が制御性T 細胞(Treg)の誘導する機序を解明し、乳癌の転移を抑制する治療法を見出し、乳癌患者の予後改善につながる基礎研究が目的である。平成29年度はEMTを誘導した乳がん細胞がTregの誘導を抑制する機序について解析を行い、数種の免疫チェックポイント分子の発現増加を認めた。また、EMTを誘導した乳がん細胞での細胞内シグナル伝達経路についても検討を行い、数種の細胞内シグナル伝達因子の活性化を見出している。さらに、活性化が認められたシグナル伝達因子の阻害剤を用いてEMTの誘導を抑制できるか検討したところ、シグナル伝達因子の阻害剤によりEMTの誘導が抑制された。これらについては、今後、活性化が認められたシグナル伝達因子の阻害剤を用いて、免疫チェックポイント分子及びTregの誘導を抑制できるか明らかにし、EMTと免疫の関係について明らかにしていく予定である。 また、活性化が認められたシグナル伝達因子の阻害剤により乳がん細胞の細胞運動能及び浸潤を抑制することを見出している。 以上のことから、活性化が認められたシグナル伝達因子がEMT誘導に重要であり、EMT誘導を阻害することで乳癌の転移を抑制する可能性が示唆された。今後、活性化が認められたシグナル伝達因子と免疫チェックポイント分子及びTreg誘導の関係について明らかに検討を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度において、EMT を誘導した乳がん細胞における免疫チェックポイント分子及び細胞内シグナル伝達因子について解析を試みた。その結果、数種の免疫チェックポイント分子の発現増加及び細胞内シグナル伝達因子の活性化を認めている。さらに、活性化が認められたシグナル伝達因子の阻害剤によりEMTの誘導が抑制された。 これらのことから、研究計画通り、おおむね順調に進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度はEMTを起こした乳がん細胞がTregを誘導する機序の解明を引き続き進める。平成29年度において、EMT 誘導に関与するシグナル伝達因子の活性化を見出しており、シグナル伝達因子の阻害剤にて、EMTの誘導が抑制されることを認めている。今後、活性化が認められたシグナル伝達因子とTreg誘導の関係を明らかにする。 平成30年度における研究計画は、活性化が認められたシグナル伝達因子が転移性乳癌に対する治療標的分子として有用であるか、in vivoにて評価する。 これらにより成果が得られれば、順次、論文投稿や学会発表を行う。
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