研究課題
若手研究(B)
乳癌の予後不良となる最大の原因として、転移が挙げられる。転移には、乳癌(上皮細胞)が間葉系の乳がん細胞に変化し、浸潤・運動を亢進する上皮間葉転換(EMT)が重要な役割を担う。本研究では乳癌におけるEMTの分子メカニズムについて検討した。その結果、Zeb-1が乳癌のEMT誘導に関与し、Zeb-1を阻害することで、乳癌の転移が抑制された。このことから、乳癌の転移におけるZeb-1の重要性が明らかとなり、乳癌の転移を抑制する新たな治療標的分子となり得る可能性が示唆された。
医療系薬学
乳癌は女性で最も死亡数が高いがんで、その原因として転移が挙げられる。つまり、乳癌の転移を抑制することが、乳癌患者の予後を改善する有効な治療法であるが、現在のところ乳癌の転移を抑制する治療法は国内外において開発されていない。本研究成果において、Zeb-1が乳癌の転移に関与することを明らかにし、Zeb-1を阻害することで乳癌の転移を抑制できることを見出した。これらの成果は乳癌の転移を抑制する治療法開発につながり、乳癌患者の予後改善に貢献できると考えている。