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2019 年度 実績報告書

続発性てんかん予防に向けた新規てんかん治療薬の探索

研究課題

研究課題/領域番号 17K15533
研究機関徳島文理大学

研究代表者

松尾 平  徳島文理大学, 薬学部, 講師 (90509267)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード症候性てんかん / 脳内炎症 / 骨髄由来免疫抑制細胞
研究実績の概要

脳障害が発端となりその後てんかんを発症する場合、脳内に異常に形成された新たな神経回路が原因だと考えられている。そこで脳内炎症の誘導や組織修復に関わる浸潤白血球について詳細に調べた。ピロカルピン誘発重積けいれん(SE)モデルマウスにおいて、SE後海馬に浸潤してきたCD45++CD11b+細胞は、さらに2つの細胞集団に分けることができた。1つは、Ly6C+Ly6G+細胞で、SE後1日目の早期から海馬内への浸潤が見られ、その後2日目をピークにして減少しいき7日目ではほとんど検出されなかった。もう1つは、Ly6C+Ly6G-細胞で、SE後2日目に急激に増加し4日目にはかなり減少していた。これらの細胞集団をFACSにより分離し炎症関連遺伝子の発現を調べた。その結果、Ly6C+Ly6G+細胞では、IL-1β、IL-23a、TNFαの発現が高く、脳内炎症を促進している好中球由来の細胞であると考えられた。そしてLy6C+Ly6G-細胞では、IL-6、IL-10、Arg1の発現が高かった。この特徴は、単球型骨髄由来免疫抑制細胞のものと一致しており、T細胞の活性化抑制、M2タイプのマクロファージの誘導などを介し、血管新生の促進や組織修復に関与していると考えられた。抗てんかん薬であるレベチラセタムは、これらの白血球の浸潤を抑制することができ、さらにてんかん発症も抑制できたことから、Ly6C+Ly6G-細胞による組織修復のための血管新生や細胞増殖の促進が異常な神経回路の形成に関与していた可能性が考えられた。今後は、Ly6C+Ly6G-細胞を直接障害する抗体を用いてその影響を検討する予定である。またてんかん原性初期の遺伝子発現プロファイルから、LINCSプログラムで検索した候補薬については、現在までのところ有効な化合物は発見できていない。これについては、引き続き検討を行っていく予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Suppressive effects of levetiracetam on neuroinflammation and phagocytic microglia: A comparative study of levetiracetam, valproate and carbamazepine.2019

    • 著者名/発表者名
      Kouichi Itoha Ruri Taniguchi Taira Matsuo Ami Oguro Christoph F.A.Vogel Takeshi Yamazaki Yasuhiro Ishihara
    • 雑誌名

      Neuroscience Letters

      巻: 708 ページ: 1-7

    • DOI

      10.1016/j.neulet.2019.134363

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 重積発作後てんかん原性期におけるミクログリアの解析2020

    • 著者名/発表者名
      片本大貴、増原朝日、中妻彩、小森理絵、松尾平、伊藤康一
    • 学会等名
      第140年会 日本薬学会
  • [学会発表] てんかん原性初期における遺伝子発現変動の網羅的解析2020

    • 著者名/発表者名
      小森理絵、河野智海、小澤千尋、松尾平、石原康宏、伊藤 康一
    • 学会等名
      第140年会 日本薬学会
  • [学会発表] 重積発作後てんかん原性期における脳内浸潤白血球の解析2020

    • 著者名/発表者名
      増原朝日、片本大貴、中妻彩、小森理絵、松尾平、伊藤康一
    • 学会等名
      第140年会 日本薬学会
  • [学会発表] 重積発作後の脳内サイトカインストームと抗てんかん薬2019

    • 著者名/発表者名
      伊藤康一、松尾 平、石原 康宏
    • 学会等名
      第13回 日本てんかん学会中国・四国地方会
  • [学会発表] てんかん原性初期の脳内変化とてんかん発症に対する五苓散の効果2019

    • 著者名/発表者名
      小森理絵、大江優美、石原康宏、松尾平、伊藤康一
    • 学会等名
      第58回 日本薬学会 中国四国支部学術大会
  • [学会発表] 重積発作後てんかん原性期における脳内浸潤白血球の解析2019

    • 著者名/発表者名
      松尾平、中妻彩、小森理絵、伊藤康一
    • 学会等名
      第58回 日本薬学会 中国四国支部学術大会
  • [備考] 徳島文理大学香川薬学部薬物治療学講座

    • URL

      http://kp.bunri-u.ac.jp/kph02/index.html

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公開日: 2021-01-27  

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