研究課題/領域番号 |
17K15544
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
辻 琢磨 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (40725628)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ラフト / 脂肪滴 / オートファジー / リポファジー / ニーマンピック病C型 / 電子顕微鏡 / 凍結割断レプリカ法 / 免疫電顕 |
研究実績の概要 |
サイズが小さく集合離散を繰り返す脂質ラフトを顕微鏡で捉えることは難しく、その性質はあまりわかっていない。我々は急速凍結・ 凍結割断レプリカ(QF-FR)電顕法を用いることで、出芽酵母液胞膜に形成されるステロールに富むミクロドメイン(ラフト様のドメイン)をタグ・ラベルフリーで直接可視化することに成功した。本研究では、このラフト様ドメインの形成機構、脂質分布、さらにこのドメインを介して進行するリポファジーの分子メカニズム、また、ニーマンピック病C型(NPC)との関係を明らかにすることを目的とする。 液胞膜はステロールに乏しい膜である。そこで静止期液胞膜にステロールを供給する機構として、NPCタンパク質NPC1/NPC2の出芽酵母オルソログであるncr1/npc2に注目して解析を行った。QF-FR電顕法によりncr1/npc2欠損株、またNPC患者に見られた変異を元にしたnpc2変異株で液胞膜ラフト様ドメイン形成率が有意に低下していること、リポファジー(脂肪滴のオートファジー)が抑制されていることがわかった。これらの株ではリポファジー小胞が正常に形成されていなかった。これは特にnpc2欠損株、npc2変異株で顕著であった。また既に報告されていたリポファジー不全株、ドメイン形成不全株の多くでNcr1/Npc2が異常な局在を示すことがわかった。窒素源飢餓時にもNcr1/Npc2依存的に液胞膜にラフト様ドメインが形成され、リポファジーが起きていた。またこの時液胞内に運ばれた多胞体の内部小胞がステロール源となることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
出芽酵母の液胞にみられるラフト様ドメイン、またリポファジーを解析し、NPCタンパク質の新たな役割についてeLifeに論文掲載することができた。
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今後の研究の推進方策 |
NPCタンパク質以外にリポファジーに関わる因子を探索し、リポファジーの意義を明らかにする。また哺乳類細胞のリソソームに酵母同様のミクロドメインが形成されていないか、それらがNPCタンパク質とどのような関係にあるのかを調べる。
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