研究課題
私達は急速凍結・ 凍結割断レプリカ電子顕微鏡法を用いることで、静止期の出芽酵母液胞膜に形成されるラフト様ドメインを可視化する方法を確立しました。本研究では、このラフト様ドメインの形成機構や性質、さらにこのドメインを介して進行するリポファジーの分子メカニズムを明らかにすることを目的としています。静止期液胞膜へのステロール供給機構として、ニーマンピック病C型(NPC)タンパク質NPC1/NPC2の出芽酵母オルソログであるncr1/npc2に注目し、欠損株、またNPC病の変異型npc2発現株においては液胞膜ラフト様ドメイン形成率が有意に低下していること、リポファジー(脂肪滴のオートファジー)が抑制されていることを明らかにしました。PI3Pをマーカーとして液胞内のリポファジー小胞を詳細に解析した所、これらの株ではリポファジー小胞が正常細胞の半分ほどの大きさでした。一方形態的解析から液胞膜が内腔側に拡張しながら脂肪滴を包み込むことがわかっていました。すなわち液胞膜は内腔側からステロール供給を受けることで内腔側に大きく落ち込み、脂肪滴を包み込む小胞(すなわちミクロオートファジー小胞)を形成することが明らかになりました。また窒素源飢餓時にも液胞内に運び込まれた多胞体の内部小胞をステロール源としてncr1/npc2依存的に液胞膜にラフト様ドメインが形成され、リポファジーが起きていました。興味深いことにatg欠損株では、内部小胞やncr1/npc2局在は正常であるにもかかわらずドメイン形成率が低下していました。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (2件)
Current Opinion in Cell Biology
巻: 57 ページ: 33-39
10.1016/j.ceb.2018.10.008
Journal of cell science
巻: 131 ページ: jcs211094
10.1242/jcs.211094
Biochemical Society transactions
巻: 46 ページ: 1047-1054
10.1042/BST20180120