現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腎臓は尿管芽と後腎間葉との相互作用によって形成されるが、それらを派生する中間中胚葉は異なっていることが知られている(Taguchi A., 2014)。発生早期の前体節中胚葉は尿管芽に分化しうる前方中間中胚葉へ分化し、一方で後期には後腎間葉への発生運命を有する後方中間中胚葉に分化すると考えられている(Takasato M., 2015)。そこで、まず、ヒトiPS細胞から前方原始線条を経て前体節中胚葉を分化誘導する方法を開発した。次に、胚の胴部で発現しているFGFおよびレチノイン酸シグナルが中間中胚葉誘導因子であることに着目して、前体節中胚葉から前方中間中胚葉の作製を試みたが、前方中間中胚葉マーカーの発現を確認することはできなかった。しかし、前方原始線条はFGF8およびレチノイン酸を加えて培養することで、効率良く前方中間中胚葉に分化することが分かった。さらに、前方原始線条から内胚葉への分化を抑制し、腹側化を抑制することで前方中間中胚葉への分化誘導効率を約7割まで向上させることができた。 作製した前方中間中胚葉は、WNTおよびBMPシグナルの濃度勾配により、背側化を誘導することで、ウォルフ管細胞へ分化誘導することが可能であった。さらに、ウォルフ管細胞から成る細胞塊を作製したところ、上皮化が促され、既知の尿管芽誘導因子によって、尿管芽様構造が形成されることが分かった。ここまでの結果を、Biochemical and Biophysical Research Communications誌で発表した(Mae SI., 2017)。 CRISPR/Cas9システムを用いて、PKD1ノックアウトヒトiPS細胞を樹立することを試みたが、遺伝子変異導入予定の領域に変異を有するヒトiPS細胞ではADPKDの表現型がほとんど出ないことが報告された(Cruz NM., 2017)。そこで、ターゲット領域を変更し、再度、CRISPR/Cas9システムでの樹立を行っている。
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