研究実績の概要 |
本件研究課題ではオートファジーに関わる膜構造の解析を目的として研究を行っている。年度前半では、主要な研究対象のひとつであるオートファジー関連因子ATG9Aとその相互作用因子Rab1についての研究を進めた。特に光-電子相関顕微鏡解析法(CLEM)と電子顕微鏡解析によりこれらのタンパク質の機能解明に繋がる結果を得ることに成功し、成果を学術論文として報告した(Kakuta S, Yamaguchi J, Suzuki C, Sasaki M, Kazuno S, Uchiyama Y. Small GTPase Rab1B is associated with ATG9A vesicles and regulates autophagosome formation.FASEB J, 31(9):3757-3773, 2017)。 またCLEMと3次元電子顕微鏡解析を組み合わせる方法の開発を進めており、共焦点レーザー蛍光顕微鏡による3次元像と収束イオンビーム搭載走査電子顕微鏡(FIB-SEM)の3次元像とを組み合わせる基本的な手法を確立した。これによりオートファジー関連膜構造の3次元CLEM解析を行った結果を2度の学術会議で報告した。この手法を用いてオートファジー関連因子p62の3次元蛍光像を取得、同じ試料でFIBSEMによる3次元電子顕微鏡観察を行い、蛍光標識したミトコンドリアを目印として両者を統合することでp62陽性の膜構造の3次元的な解析を行うことが出来た。現在の手法には空間的な制限や、3次元像取得に失敗することがあるなどの欠点があり、今後はこの点の改良を行っていく。方法を確立したのちに解析対象を広げてより様々な細胞種・実験条件で研究を行っていく予定である。
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