研究課題/領域番号 |
17K15557
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
新家 清惟 (内藤清惟) 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 准教授 (30794903)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 脊髄排便中枢 |
研究実績の概要 |
近年、ストレスによる排便障害が大きな問題となっているが、ストレスと関連の深い中枢神経系による排便制御は未だ謎に包まれており、特に脊髄による制御機構はほとんど明らかになっていない。これまでに、脊髄排便中枢に投与したノルアドレナリン、ドパミンが大腸運動を促進することから、中枢神経系による排便制御における上脊髄領域の神経核の関与を示してきた。しかしながら、未だ脊髄排便中枢に対する基礎的研究が絶対的に不足していることが、中枢性の排便制御メカニズムの解明を遅らせている。本研究の目的は、脊髄排便中枢に作用する生理活性物質のスクリーニングを行い、脊髄排便中枢における神経回路を同定することで、この分野の研究の飛躍的な進歩に貢献することである。 本年度は、昨年の研究結果から明らかになった、脊髄排便中枢で作用する新たな生理活性物質について、その作用メカニズムの検討を行った。現在、この結果を発表するために英文の科学論文をして投稿する準備を進めている。また、これまでに明らかになった生理活性物質が、脳から下行性に脊髄排便中枢へ放出され、大腸運動を亢進していることや、これらの生理活性物質が大腸への侵害刺激によって脊髄に放出されていることが明らかとなった。 これらの結果を、英文の科学論文(American journal of physiology. Gastrointestinal and liver physiology.誌)、国内学会(第28回日本病態生理学会大会、第60回日本平滑筋学会総会)にて発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脊髄排便中における新規生理活性物質のスクリーニングを行い、セロトニン、ソマトスタチン、 GABAなどの神経伝達物質が、大腸運動に影響することを明らかにすることができた。さらに、明らかになった脊髄排便中における新規生理活性物質について、それらの物質がどのようにして大腸運動を調節しているのか、脊髄排便中枢における作用メカニズムを明らかにすることができた。 また、これまでの研究成果を英文の科学論文および国内学会にて発表することができた。 以上の点から、現在までの達成度として、「(2)おおむね順調に進展している」を選択した。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で明らかになった生理活性物質について、脊髄排便中枢における作用メカニズムの検討を行い、作用を仲介する受容体を特定する。特定した受容体および生理活性物質の局在を免疫組織化学的に調べ、逆行性トレーサーを用いて大腸に投射する神経との位置関係を検討する。また、形態的な検討だけでなく、各種阻害剤を用いた薬理実験を組合せて、生理活性物質同士の相互関係を調べることで、脊髄排便中枢を構成する神経回路を明らかにする予定である。 また、次年度は研究成果の発表にも力を入れる予定であり、英文の科学論文及び学会での発表を積極的に行っていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
残額が1回の動物購入費より小額だったため、購入することができなかった。翌年度分と合わせて動物購入費にあてる予定である。
|