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2018 年度 実施状況報告書

メカノトランスダクションを介した肝星細胞活性化メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K15561
研究機関大阪市立大学

研究代表者

宇留島 隼人  大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (90755745)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードメカノトランスダクション
研究実績の概要

肝がん細胞株HepG2を浸透圧調整培地で培養し血清飢餓によってアポトーシスを誘導したところ、低浸透圧培地で抗アポトーシスタンパクBcl-2発現が亢進しアポトーシスが抑制された。低浸透圧受容体TRPV2をノックダウンしたところ、Bcl-2の発現が減弱し、アポトーシス抑制効果がキャンセルされた。従って低浸透圧環境が浸透圧受容体を活性化させ肝がん細胞のアポトーシスを抑制することが明らかとなったが、そのメカニズムは前年度の段階では不明であった。
本年度は低浸透圧環境がメカノトランスダクションを介して細胞にどのようなシグナルが生じているのかを探索した。低浸透圧培地では細胞の生存に関わるAKT経路が亢進することがわかった。AKTの阻害剤を低浸透圧培地に添加すると、Bcl-2発現が抑制されアポトーシス抑制効果が消失した。またそのAKT経路の活性化はTRPV2のノックダウンによっても消失した。さらにTRPV2のアゴニスト添加によってもAKTのリン酸化が亢進し、一方TRPV2アンタゴニストの添加によってアポトーシス抑制効果が減弱した。
次にAKTが直接Bcl-2の発現亢進に寄与しているのかどうかを解析した。AKT恒常活性化細胞を作成しアポトーシスを誘導したところ、AKT恒常活性によってBcl-2発現が増強しアポトーシスが抑制された。
これらのことから、低浸透圧環境が浸透圧受容体TRPV2を介してAKT経路を活性化しBcl-2発現に寄与していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定では、2年目はメカノトランスダクションを引き起こすセンサーとその下流のシグナルの同定を予定していた。本年度は低浸透圧環境が肝星細胞のアポトーシス抑制に働くメカニズムの解析にかなり進捗がみられたため、おおむね順調に進んでいると考えられる。

今後の研究の推進方策

肝星細胞だけでなく、肝がん細胞株にもTRPV2が発現していることが近年明らかになっている。肝硬変による低浸透圧環境が肝星細胞だけでなく肝がん細胞のアポトーシス抑制に寄与している可能性が考えられる。今後、肝がん細胞株を用いて、肝星細胞と同様に低浸透圧環境とアポトーシスとの関連を解析し、肝線維化および肝発がんに対する低浸透圧の影響を分子生物学的に解析する予定である。

次年度使用額が生じた理由

肝星細胞にTRPV2を強制発現させ対照群とともにマイクロアレイ解析を行い、発現に差のある遺伝子を抽出しようと計画していたが、肝星細胞と肝がん細胞株も同時に行うことに計画を変更した為。次年度にこの解析を行う予定である。

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公開日: 2019-12-27  

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