悪性中皮腫は主に胸膜に発症する高悪性度の腫瘍であり、壁側・臓側胸膜表面にびまん性に広がる特徴がある。腫瘍が胸膜全体に進展するメカニズムを解明するため、正常中皮細胞と、悪性中皮腫細胞の共培養を行った。様々な共培養システムを検討した結果、正常中皮細胞が優位な発がん初期段階では、正常中皮細胞が悪性中皮腫細胞の増殖促進に寄与し、その後腫瘍細胞が優位になると、正常細胞が排除されて腫瘍細胞に置き換わることが示唆された。また、悪性中皮腫細胞から放出される液性因子によって、正常中皮細胞の細胞間接着能が低下することが明らかとなった。
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