研究実績の概要 |
当研究室では8000匹以上のランダム突然変異を有するマウスの睡眠覚醒スクリーニングにより顕著な睡眠時間の延長を示すSleepy家系を樹立し、原因となる遺伝子変異がリン酸化酵素SIK3にあることを明らかにした(Funato et al., 2016)。また、同様に睡眠時間延長を示すSleepy2家系も樹立に成功している。これらの遺伝子が睡眠覚醒を制御するメカニズムの詳細については未だ明らかとなっていないが、リン酸化酵素であるSIK3はSleepy2のリン酸化に関わり、機能を制御しているという研究結果が過去に報告されている。独立して見つかった新規睡眠覚醒制御関連遺伝子であるSik3とSleepy2が互いに酵素と基質の関係になっていたということは、このカスケードが睡眠量を規定する細胞内シグナル伝達系の解明への足掛かりになることが考えられた。そこで本研究ではSIK3-Sleepy2リン酸化シグナルによる調節機構に着目し、睡眠覚醒制御機構に関与する細胞内シグナル伝達系を明らかにすることを目的とした。 本年度はSIK3タンパクを強制発現させた培養細胞からタンパク質を抽出し、免疫沈降にてSIK3タンパク質を濃縮してキナーゼ解析を行った。ウェスタンブロット法にてSIK3タンパクが精製できていることは確認できたが、溶出物を用いて基質ペプチドに対するキナーゼ解析を行ったが活性を確認することができなかった。そのため、免疫沈降物を溶出せずにそのままキナーゼ活性を解析したところ活性を確認することができた。引き続きSleepy変異、不活性型変異、活性型変異を有するタンパクを用いてキナーゼ活性の解析を行っている。
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