研究課題
LPS敗血症モデルマウスにおいて、蛍光標識イソレクチンを用いた血管染色を行い、in vivoイメージングにより血管の状態を観察した。HRGノックアウトマウスは野生型マウスと比較して、イソレクチンにより染色された血管が減少しており、血管が障害され血管内皮が剥がれている可能性があることが明らかとなった。また、レクチンは血管内皮上のグリコカリックス層に結合するという報告があり、LPS刺激により、血管内皮上のグリコカリックス層が剥離している可能性も示唆された。この結果より、HRGは血管内皮そのもの若しくは内皮上のグリコカリックス層をLPS障害より保護していることが明らかとなった。敗血症時の血栓形成や組織障害には活性酸素が中心的役割をしていることが知られているが、HRGは毒性の強いヒドロキシルラジカル産生に必須である2価鉄イオンをキレートすることでその産生を阻害することをこれまでに明らかにしてきた。今回それに加えて、脂質過酸化連鎖反応に密接に関与するペルオキシルラジカルに対して、HRG自身が酸化されることで抗酸化作用を発揮することを明らかにした。また、組織障害や溶血により細胞外へ放出される2価鉄イオンは先に述べたヒドロキシルラジカル産生だけでなく細胞障害も引き起こすことが知られているが、HRGはその細胞障害を阻害することが明らかとなった。そのメカニズムとしては、HRGの2価鉄イオンキレート作用だけでなく、細胞への直接的作用があることが示唆された。
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