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2017 年度 実施状況報告書

恒常的なNRF2の活性化がもたらす細胞老化誘導の意義とその分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K15591
研究機関東北大学

研究代表者

北村 大志  東北大学, スマート・エイジング学際重点研究センター, 助教 (20706949)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワードNRF2依存性がん / 老化 / p16
研究実績の概要

肺胞上皮における細胞老化を検出するため、Keap1Flox/Flox(以下Keap1 F/F)マウスにCreリコンビナーゼ発現アデノウイルス (Adeno-Cre) を経鼻的に投与して、肺胞上皮細胞特異的にKeap1遺伝子を欠損させてNRF2を恒常的に活性化させたが、野生型マウスと比較して、肺胞上皮特異的にNRF2を活性化させたマウスにおいて、目立った細胞老化の上昇は観察されていない。引き続き、検討を行う。
また肺胞上皮特異的にKeap1を欠損させたマウスにブレオマイシンを投与して、肺傷害を与えたものの短期間では発がんが観察されていない。この実験系においては、発がんに至るまでに極端に時間がかかるものと考えられるので、Adeno-Cre接種によりがん遺伝子KRASG12Dの発現を誘導して肺がんを発症させるマウスモデル (LSL-KRASG12D)とCdkn2a-/-, Keap1F/F, Keap1F/F:Cdkn2a-/-, 野生型のマウス4種類との複合変異マウスを作製し、これらのマウスにおいて発がん実験を行う。高いdoseのもとでの発がん実験では、明確な差が見いだされなかったので、現在接種するウイルスの量を減らして、長期観察を行っている。KEAP1/Krasの二重変異マウスにおいてさらにCdkn2aを欠損させると肺がんが多く形成されるか、がんの悪性化が観察される事が予想される。
さらに細胞レベルで恒常的なNRF2活性化による細胞老化誘導の一般性の検証を行うため、Keap1欠損マウスと野生型マウスからマウス繊維芽細胞を樹立できたので、今後の実験に利用する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度の実験において、マウスの繁殖をスムーズに行う事ができマウスの発がん実験まで効率よく実験を進める事ができた。また、マウスに同種移植可能なNRF2依存性がんのモデル細胞を作製し、NRF2の下流で機能する因子を同定し、論文として報告する事ができた。このモデル細胞をもちいてcdkn2aの機能を解析する事も可能であり、次年度以降の実験に応用可能である。

今後の研究の推進方策

NRF2依存性肺がんにおけるCdkn2aの機能を解析するため、引き続きマウス肺がん誘導システムを用いて、cdkn2aの欠損がNRF2依存性肺がんの基盤となりうるかを検証する。また誘導したマウス肺がんより、肺胞上皮幹細胞を取得して、NRF2依存性肺がんの転写プロファイルやゲノム不安定性の検討など細胞レベルの解析も進める。

次年度使用額が生じた理由

理由
初年度は、マウスを用いた実験が予想していたより効率よく進み、実験結果が得られたため、当初の予定より支出が少なくなり、未使用額が発生した。
使用計画
現在行っているマウスの発がん実験が、当初予定していたより、多くの個体数と長期的な観察が必要になってきたため、このマウス発がん実験と当初の計画を併せて使用して行く予定となっている。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] NRF2 addiction in cancer cells2018

    • 著者名/発表者名
      Kitamura H and Motohashi H
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 109 ページ: 900-911

    • DOI

      10.1111/cas.13537.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] IL-11 contribution to tumorigenesis in an NRF2 addiction cancer model.2017

    • 著者名/発表者名
      Kitamura H, Onodera Y, Murakami S, Suzuki T, Motohashi H.
    • 雑誌名

      Oncogene

      巻: 36 ページ: 6315-6324

    • DOI

      10.1038/onc.2017.236. Epub 2017 Jul 17.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Glucocorticoid receptor signaling represses the antioxidant reponse by inhibiting histone acetylation mediated by the transcriptional activator NRF2.2017

    • 著者名/発表者名
      1.Alam MM, Okazaki K, Nguyen LTT, Ota N, Kitamura H, Murakami S, Shima H, Igarashi K, Sekine H, Motohashi H.
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 292 ページ: 7519-7530

    • DOI

      10.1074/jbc.M116.773960.

    • 査読あり
  • [学会発表] IL-11 contributes to tumorigenesis in an NRF2 addiction cancer model2017

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Kitamura, Yoshiaki Onodera, Takashi Suzuki, Hozumi Motohashi.
    • 学会等名
      SfRBM 24th Annual Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] Glucocorticoid receptor signaling represses antioxidant response by inhibiting NRF2-dependent histone acetylation.2017

    • 著者名/発表者名
      Md. Morshedul Alam, Keito Okazaki, Nao Ota, Hiroshi Kitamura, Hiroki Shima, Kazuhiko Igarashi, Hiroki Sekine, Hozumi Motohashi.
    • 学会等名
      日本生化学会東北支部会第83回例会
  • [図書] NRF2依存性難治がんの成立機構とその特性2018

    • 著者名/発表者名
      北村大志 本橋ほづみ
    • 総ページ数
      809-814
    • 出版者
      羊土社

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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