研究課題
2019年度は、2018年度に開発した糖化ステロール群の合成機構の解析システムを用いて、糖化ステロールの一種として新たに同定したコレステリルガラクトシド(GalChol)の合成機構の解析を行った。具体的には、グルコシルセラミド分解酵素(GBA1、GBA2)がGalChol合成を行う可能性について検討した。酵素源として、組換えヒトGBA1(セレザイム)またはヒトGBA2を過剰発現させたヒト胎児腎細胞(HEK293T)を用いた。基質として、蛍光ラベルされたコレステロール(25-NBD-コレステロール)をガラクトースのアクセプターとして、ガラクトシルセラミド、ガラクトシルスフィンゴシン、UDP-ガラクトースをガラクトースドナーとして用いた。37℃で2時間酵素反応を行い、酵素反応液から抽出した脂質を薄層クロマトグラフィーで分離し、蛍光ラベルされたGalCholの合成量を測定した。同様の実験を蛍光ラベルされていないコレステロールを用いて行い、GalChol合成量を高速液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法で測定した。その結果、GBA1とGBA2はガラクトシルセラミド分解活性をもち、ガラクトシルセラミドのガラクトースをコレステロールに転移してGalCholを合成することがわかった。ガラクトシルスフィンゴシンならびにUDP-ガラクトースはGalChol産生のガラクトースドナーとしては利用されないことがわかった。これらの結果より、GBA1とGBA2はグルコシルセラミド分解酵素としてだけでなく、β-ガラクトシダーゼとしてガラクトシルセラミド分解活性をもち、GalChol合成酵素としても機能することが明らかになった。
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Journal of Biological Chemistry
巻: 295 ページ: 5257-5277
10.1074/jbc.RA119.012502