近年、精神疾患に共通して観察される脳内慢性炎症が、多様化した精神疾患に共通した病態である可能性が考えられている。本研究では、小胞体膜タンパク質 Derlin-1の中枢神経特異的な欠損マウスにおける小胞体ストレスの遷延化が、脳内炎症を引き起こすと同時に複合的な精神疾患様行動を示すことに着目し、その詳細な解析を行った。その結果、脳内炎症は小胞体の恒常性の改善によりある程度沈静化できることがわかった。同時に本マウスでは、ニューロンの樹状突起の形成障害が観察された。さらに、このような精神疾患を引き起こし得る脳内の異常には、コレステロール合成の異常や細胞増殖因子の発現変化等も関与することが示唆された。
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