研究課題
血管内皮特異的Tspan18KOマウスが血管形成遅延の表現型を示す機序解明のため、新規に同定したTspan18結合因子である”VEGFR2の細胞質ドメイン側断片”の解析を進めた。VEGFR2の130kDaと75kDaの断片の産生機構を解析するため、HUVECをTAPI-1(メタロプロテアーゼ阻害剤)で処理したところ、処理群では75kDa断片のタンパク量は変わらず、130kDa断片が減少していた。このことから、130kDa断片の産生にはメタロプロテアーゼの関与が示唆された。また、PMA(shedding誘導剤)処理によって全長VEGFR2が減少し、リン酸化された全長VEGFR2および130kDa断片も失われた。HUVECをDAPT(γ-セクレターゼ阻害剤)処理により130kDa断片が蓄積したことから、同断片はγ-セクレターゼの基質であることが示唆された。また、40kDa付近に新規断片も検出されたが、この存在量はDAPT処理の影響を受けず、γ-セクレターゼが産生したものではないと考えられた。両断片の生成・分解とTspan18の関係性について、Tspan18をノックダウン(KD)したHUVECを用いて解析した。対照群では定常時の130kDa断片が75kDa断片より多かったが、VEGF添加後にこれが逆転しリン酸化全長VEGFR2が速やかに増加した後、減少した。一方、Tspan18をKDした群では対照群より定常時の130kDa断片が多く、VEGF添加後の75kDa断片の増加スピードが遅く、リン酸化全長VEGFR2の増加とその後の減少も遅延した。Tspan18は、VEGFR2の全長あるいは130kDa断片からの75kDa断片へのsheddingを促進する働きを持ち、このsheddingの過程が、VEGFを受容した際のVEGFR2のリン酸化の増強および収束に関与していることが示唆された。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Dev Cell.
巻: 48(2) ページ: 151-166
10.1016/j.devcel.2018.12.002. Epub 2019 Jan 10.