研究課題
代表者は予備的研究から大腸癌促進に働くサイトカインIL-11 が癌細胞ではなく、その周囲に存在する間質細胞で特異的に産生されていることを見出した。本年度では、いまだ不明な癌関連間質細胞の制御機構を明らかにするためにIL-11を産生する間質細胞の特性と機能的役割を明らかにすることを目的に、研究計画に沿い以下の2項目に着目して解析を行った。(1: 大腸癌時におけるIL-11産生癌間質細胞の特性の解明) 腫瘍形成に関わるIL-11の産生細胞を同定するために、我々が樹立したIL-11 レポーターマウスを用いて大腸癌モデルを作製し、in vivo でIL-11 産生細胞の同定を昨年度までに行った。その結果が、実際にヒト病理所見と一致するかを、ヒト大腸癌検体(大腸腺腫、早期癌、進行癌)をもちいて免疫組織学的解析を行った。その結果、腫瘍間質領域でIL-11の発現が確認され、マウスモデルの結果と相関した細胞分化マーカーの発現が見られる事が分かった。また、進行に伴って、IL-11産生細胞が増大することが示された。(2: 大腸癌におけるIL-11 産生機構の解明) どのようにしてIL-11の産生が誘導されているかを明らかにするために、IL-11の発現を抑制できる阻害剤の探索を行った結果、ある阻害剤を用いた場合に、IL-11の発現が腫瘍部で減少することが示された。そして、その際に、腫瘍細胞の細胞増殖の減少、細胞死亢進が認められた。また、これらの解析を進めるために、IL-11の機能を抑制する中和抗体の樹立に成功した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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