研究実績の概要 |
本年度は昨年度に引き続き、びまん型胃癌においてCLDN18転座により促進される浸潤、転移機構についてより詳細な解析を実施した。昨年、我々はCLDN18転座胃癌が高頻度に遠隔転移を有し、家族性びまん型胃癌原因遺伝子であるCDH1(E-カドヘリン)発現と概ね相互排他的ある点、CA9がCLDN18転座により活性化されるシグナル経路のmodulatorとなっている可能性などについて報告した。本年度はまずびまん型胃癌凍結検体のRNAseqデータ(in-house data)及びTCGAのびまん型胃癌RNAseqデータを再解析した。昨年度にRNAseq解析を実施したが、解析パイプライン(RNAseq reads assemble/alignment package, differential expression analysis package)を最新のものに更新し再度実施した。その結果、転座胃癌に有意に発現亢進/低下している遺伝子を以前より10-20%程度多く同定できた。次に転座胃癌で活性化している経路を標的とする薬物を同定するため、DGIdb(The drug gene interaction database)を用いて候補薬物(FDA承認薬含む)を検索した。その結果、100種以上の阻害薬が発見され、FDA承認薬も多数含まれていた。これはdrug-repositioningの可能性を示唆しており、意義深い結果と考えている。In vitro解析では、CLDN18転座を導入した胃癌細胞株でアノイキス耐性や高浸潤能が再現された。In vitro及びIn vivoで上記同定薬物の効果の検討を進めている。
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