研究課題/領域番号 |
17K15637
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
池村 雅子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (80524553)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | レヴィ小体病 / シヌクレイン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、レヴィ小体病の中枢神経系および末梢神経系におけるプロテアーゼ耐性αシヌクレインの沈着の特徴・広がりを明らかにすることである。初年度には、レヴィ小体病の症例を対象とし、従来の方法であるリン酸化αシヌクレイン沈着と、より早期病変が可視化可能と予想されるプロテアーゼ耐性αシヌクレイン沈着とを比較・検討を行う予定であった。 まず、開頭剖検例の中から,延髄または扁桃核に偶発的にリン酸化αシヌクレインの沈着がみられた早期レヴィ小体病を抽出した。2011年以降の65歳以上の開頭剖検例において、早期レヴィ小体病は9例みられたため、これらの症例の脳及び全身臓器(心臓・腸管・副腎)における異常αシヌクレインの沈着を、リン酸化αシヌクレイン抗体と、プロテアーゼ耐性非リン酸化αシヌクレイン抗体を用いて検討した。結果、プロテアーゼ処理非リン酸化αシヌクレイン抗体でより感度高く異常αシヌクレインの検出が可能であった。9例中6例では心臓に沈着がみられ、特に2例では、脳病変よりも心臓におけるαシヌクレインの沈着が高度であった。心臓に沈着のみられない3例はいずれも、延髄よりも扁桃核でシヌクレイン病理が強かった。腸管におけるαシヌクレイン陽性率は低かった。コンフォメーション異常がリン酸化よりも早く起こっている可能性が示唆された。また心臓はレヴィ小体病の初期から侵される臓器であり、心臓に病変が強調されるレヴィ小体病の一群が存在する可能性が示された。さらに症例数を増やして検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
抽出可能であった早期レヴィ小体病が予定よりも少ないため、より検討症例を増やす予定である。
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今後の研究の推進方策 |
早期レヴィ小体病と思われる症例の抽出をより古い症例も含めて行い、対象症例を増やす事により、レビ小体病理の分布をより詳細に検討する。またこれまでの検討からは、主臓器のうち心臓が最も早期にレヴィ小体病理が出現する臓器と考えられるため、心臓をスクリーニング部位として、非開頭剖検例を含めて早期レヴィ小体病の抽出を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は、開頭剖検例から早期レヴィ小体病を抽出することからはじめ、抽出された症例を対象に研究を行う予定であった。抽出された症例数が予想よりも少なかったため、使用額ニ差が生じた。より対象年を広くすることにより対象症例を増やして2年目は検討する予定である。
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