本研究の目的は、レヴィ小体病において、中枢神経系及び末梢神経系におけるプロテアーゼ耐性αシヌクレインの沈着の特徴・広がりを明らかにすることである。初年度において、開頭剖検例の早期レヴィ小体病を用いた検討で、全身臓器においても、抗リン酸化αシヌクレイン抗体よりもプロテアーゼ耐性非リン酸化αシヌクレイン抗体を用いた検索のほうが、より感度高く異常αシヌクレインの検出が可能であること、また心臓に病変が強調されるレヴィ小体病が存在することが明らかとなった。 そのため、心臓に注目し、開頭剖検例だけでなく、50歳以上の非開頭連続剖検例を用いて、心臓及び扁桃核におけるプロテアーゼ耐性αシヌクレインの沈着を検討した。その結果、非開頭剖検例のために神経変性疾患を念頭におかずに検索された症例の中にも心臓に比較的高度なレヴィ病変が含まれる症例が存在することが明らかになり、このような症例の中で開頭がなされている症例では、中枢神経系にほとんど病変がないにも関わらず心臓にレヴィ小体病理がみられる症例もあった。このような症例の臨床症状についてさらに検討していく予定である。 シヌクレイノパチーの代表であるレヴィ小体病では、シヌクレインのコンフォメーション異常がリン酸化よりも早く起こっている可能性が示唆された。また、開頭剖検例における脳を主体とした検索法では検出できない末梢神経優位のレヴィ小体病の一群の存在を明らかにすることができた。
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