研究実績の概要 |
これまで唾液腺腺様嚢胞癌の特異的な遺伝子転座(MYB-NFIB, MYBL1-NFIB融合遺伝子)の持つ臨床病理学的意義やその他の遺伝子変異は不明である. 申請者は33例の唾液腺腺様嚢胞癌をFISH法や免疫化学染色を用いて研究を行った. その結果, (1)鑑別困難な症例の診断では, FISH法による遺伝子解析が有用であること (2)本腫瘍は遺伝子学的に6種類に分類できること (3)MYB/MYBL1遺伝子分離症例は予後不良因子となり得ることが示唆された (Fujii (Tsuda) K, et al. Histopathology, 2017). 上記の遺伝子異常以外に, 腺様農法癌におけるEGFR, RAS family, PIK3CA, BRAF, AKT1の遺伝子異常の有無を高感度な特異解析法であるSNaPshotを用いて検討した. その結果, EGFR経路の変異やRAS遺伝子変異陽性症例は, 陰性症例と比較して, より短い無病生存期間および全生存期間を示すことが明らかとなった (Saida K, et al.Oncotarget, 2018).
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