研究課題
申請者は、gemcitabine(GEM)に対する耐性機序について検討を行うため、ヒト膵管癌細胞株MIA-PaCa-2(MIA-P)に低濃度でGEMを持続処理することで、GEM耐性の細胞株MIA-Gを樹立した。MIA-GのGEMに対するIC50は、MIA-Pと比較し約1000倍の差が認められた。MIA-PとMIA-G間で遺伝子プロファイルを比較すると、Microtubule-associated serine/threonine kinase 4(MAST4)の発現は約6倍亢進しており、MAST4のノックダウンによりMIA-GのGEM耐性はMIA-Pと同程度まで低下した。膵管癌臨床検体91症例を用いた免疫染色では、MAST4は正常膵管上皮では細胞質に、膵管癌細胞では細胞質と核に発現しており、核への染色性は予後と逆相関を示していた。MIA-Gにおいて、MIA-Pに比較し細胞質・核ともにMAST4タンパクレベルの亢進が認められた。さらに、MIA-GではAKT3の発現亢進が見られ、MAST4ノックダウンによりAKT3レベルも低下した。臨床材料を用い、MAST4発現を91例の膵管癌で検討すると、45例49%に高発現が見られ、発現の程度は、T因子、N因子、M因子、予後不良と相関していた。さらに、GEM投与例では、MAST4高発現例で有意に予後は不良であった。さらに、ネオアジュバントの効果を検討すると、GEM高発現例ではGEMに対し効果不良が見られたのに対し、5-FU系薬剤には明らかな耐性は認められなかった。
2: おおむね順調に進展している
MAST4結合タンパクに対する質量分析は実施中である。
MAST4結合タンパクを質量分析-プロテオミクス解析により解明するとともに、MAST4-ChiPアッセイによりMAST4の核内におけるDNA結合性とその標的を解析する。
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