研究課題
本研究は、細胞診材料を用いてin vitroとin situの両面からがん細胞の遺伝子点突然変異を解析する方法を開発することを目指している。in vitroの手法としては、Loop mediated isothermal amplification (LAMP)法の原理と人工核酸の特性を合わせPNA-LNA Mediated Loop-Mediated Isothermal Amplification法(PLNA-LAMP法)の開発を行い、in situの手法としては、Rolling Circle Amplification(RCA)法の原理に人工核酸を用いたin situ LNA-RCA法の開発を目指している。2017年度はすでに条件設定が行われているPLNA-LAMP法を用いたKRAS点変異の細胞診材料への応用を目指したが、点変異のみならず様々な変異の検出の可能性を探るため、融合遺伝子検出を検討した。その結果、培養細胞を用いたin vitroにて、人工核酸やRCA法は使用せず、LAMP法のみでEML4-ALK、SYT-SSX、IgH/BCL2の融合遺伝子検出に成功し、論文発表した(Acta Histochem Cytochem. 2017)。人工核酸は高価なため、比較的安価で簡便なLAMP法単独での遺伝子変異の検出の成功は、細胞診材料を用いた遺伝子変異の解析の可能性をより広げ、診断や治療に貢献できると思われる。
3: やや遅れている
点変異のみならず様々な変異の検出の可能性を探るため、融合遺伝子検出を検討を優先した。その結果、当初予定していたKRAS点変異の細胞診材料への応用は確立できなかった。しかし、培養細胞を用いて、人工核酸やRCA法は使用せず、LAMP法のみでEML4-ALK、SYT-SSX、IgH/BCL2の融合遺伝子検出に成功し、論文発表した(Acta Histochem Cytochem. 2017)。
培養細胞で設定した遺伝子変異の検出を細胞診材料への応用する。具体的にはPLNA-LAMP法によるKRAS点変異の検出を行う。in situ LNA-RCA法によるKRAS点変異の検出に関しては、培養細胞を用いて特異性を確かめた後、細胞診材料に応用する。その他、FGFR3変異の検出に関してもin vitroとin situの両面から可能性を探る予定である。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Acta Histochemica et Cytochemica
巻: 50 ページ: 169,176
10.1267/ahc.17024