研究課題
本研究は、採取の簡便性と診断の有用性から細胞診材料に着目し、細胞診材料を用いてin vitroとin situの両面から、がん細胞の遺伝子点変異を解析する方法を開発することを目指している。遺伝子点突然変異を個々の細胞内(in situ)で視覚化する手法は未だなく、有用な手法となることが期待される。2019年度は、細胞診材料からDNAを抽出し、NGS法およびダイレクトシークエンス法により、変異を検出した。細胞量や固定前の状態において、シークエンス結果への影響を検討した。このシークエンス結果を用いて、KRASおよびFGFR3などの点変異を細胞診材料から検出する計画であった。当初予定していた人工核酸と核酸増幅を組み合わせる方法より、簡便に検出できる可能性のあるBaseScopeを採用することにした。BaseScopeは RNAを従来の方法より高感度に検出・視覚化するRNAscopeを応用した方法である。細胞診材料にBaseScopeを用いて、点変異を検出した報告は過去になく、これを確立することは、細胞診断の正診率の向上のみならず、治療戦略を立案するためのコンパニオン診断に大きく寄与することができると考えている。2019年度は、培養細胞を用いて、in situでFGFR3点変異の検出の条件設定を行い、問題点を見出した。今後は問題点を解決し、条件設定を決定し、臨床検体を用いて、点変異が検出できるかを検討する予定である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
Am J Surg Pathol.
巻: 43 ページ: 975-983
10.1097/PAS.0000000000001284