研究課題/領域番号 |
17K15652
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
吉本 多一郎 自治医科大学, 医学部, 非常勤講師 (20634166)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 癌間質相互作用 / 上皮間葉転換 / インターラクトーム |
研究実績の概要 |
本研究は、まず異なる形質(上皮型形質と間葉型形質)を示すヒト肺腺癌細胞株11株(上皮型9株、間葉型2株)をNOD/SCIDマウスの皮下に注射しXenograft modelを作成した。上皮型細胞株はマウス由来の間質を豊富に誘導し腺管状~乳頭状の腺癌を形成する一方で、間葉型細胞株は間質に乏しい充実性~髄様の腺癌を形成した。このことから、上皮型と間葉型細胞株では癌間質相互作用が大きく異なり、かつヒトとマウスという異種間でも癌間質相互作用が誘導されることが明らかとなった。さらに、癌細胞と間質細胞が異種性である点を利用し、ヒト(癌)由来のシグナルとマウス(間質)由来のシグナルを分離して網羅的にNGS解析すること(インターラクトーム解析)が可能となった。その結果、上皮型と間葉型のXenograftで異なる癌間質相互作用を示すリガンド・レセプターペアを抽出することに成功し、関連学会で発表した。 次に、これらのリガンド・レセプターペアのうち、特にケモカインに注目した(CX3CL1/CX3CR1やCXCL16/CXCR6など)。これらを認識する抗体を購入し、Xenograftにおいて免疫組織化学的に解析を行った。この段階において、定量的な評価(特に間質の発現)の手法について、現在検討を重ねているところである。 上記の免疫組織化学的な定量が困難と予想される場合は、ヒト肺腺癌細胞株に候補となったリガンドレセプターペアの遺伝子を強制発現あるいはノックダウンしたXenograftを作成し、癌間質相互作用の変化を観察する手法も考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
免疫組織化学的解析結果の定量解析がやや困難で手法を検討している。また、研究代表者が非常勤となったため、やや研究の進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
別のリガンドレセプターペアについても検討する。また、上記の通り、代表的なヒト肺腺癌細胞株に候補となっている遺伝子を強制発現あるいはノックダウンしXenograftを作成し、癌間質相互作用の変化を検討する手法も代替として考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画が当初より遅れており必要な試薬の購入が進んでいないため。今年度は、当初予定していた免疫組織化学的解析の抗体や、研究内容の変更によっては必要な試薬を追加購入する予定である。
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