研究実績の概要 |
膠芽腫の病理組織標本で、癌幹細胞化を誘導する因子の検索として、胎生期の臓器形成に関与するSoxファミリー (Sox2, Sox6, Sox9, Sox11等)を中心に免疫組織学的に検索した。いずれのSox因子も壊死部を取り囲む腫瘍細胞に陽性所見を示したが、特にSox9発現が著しく高度であった。膠芽腫細胞株も用いて、膠芽腫におけるSox9の働きを立証をしていたところ、S100 A4が低酸素環境・血管周囲へ発現する事実を発見した。膠芽腫細胞株において、塩化コバルトを添加した低酸素環境下では、発現が増加した。S100 A4は一般的にはがんの転移・浸潤に関わる因子として注目されている。膠芽腫において低酸素によるがん幹細胞化にS100 A4が密接に関与している可能性を考え、S100 A4と密接な関係性を持ちうる因子を検索している。
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