研究実績の概要 |
平成29年度は、卵巣明細胞癌におけるLeft-right determinant factor(Lefty)発現制御機構とその解析を行った。その結果、LeftyはTGF-β/Smad2シグナルによりmRNA及びタンパク質レベルにより発現亢進することが明らかとなった。さらに、Lefty遺伝子のプロモーターを用いたルシフェラーゼアッセイにおいても、同様の結果が得られた。しかし、Smad2活性阻害剤であるSB525334を添加した培養細胞では、pSmad2の発現は抑制されたが、Lefty発現に変動はなかった。このことより、Leftyはnon-Smad系による発現制御機構が存在することが考えられた。一方で、Bisulfate-Sequence法の結果、Lefty遺伝子のメチル化とタンパク質発現は相関関係にないことを確認した。 今後は、卵巣明細胞癌におけるLefty発現の意義を、培養細胞を用いた恒常発現系またはノックダウン系細胞の作製より検証する。さらに、病理組織上におけるLefty発現と上皮間葉転換(Epithelial-Mesenchymal Transition; EMT)やがん幹細胞(Cancer Stem Cell; CSC)化との関連性を解析するため、EMTマーカー(E-cadherin, Vimentin, Snail, Slug等)やCSCマーカー(Sox2, CD44, CD133, ALDH等)の免疫染色を行う予定である。
|